意識の向上

見たまんま

最近読んだ本の感想

最近あまり本を読めてないけど感想をば。書き殴りなので日本語になってないところもあります。

『居心地の悪い部屋』
編訳者、岸本佐知子の琴線に触れた「後味の悪い」「異国に置いて行かれたような感覚になる」作品ばかりを集めたアンソロジー。私が読んだのは文庫本だが、ハードカバー版から出版社が変わったらしく『来訪者』が版権の都合上削除され『オリエンテーション』が挿話されていた。シンプルだが不安な気持ちにさせてくれる表紙がお気に入り。ド嬢の神林しおりが好きそう。
『ささやき』『潜水夫』が本作品の中で気に入った。前者は短編のお手本みたいなどんでん返し、後者は隔絶された環境の中で暴力の気配が渦巻く最後までスリリングなまさしく不安になる作品。

不思議の国のアリスミステリー館』
中井英夫都筑道夫小栗虫太郎の名前に惹かれて去年の暮れに買った本。不思議の国のアリスを取り扱っている作品を集めたアンソロジー。本格ミステリから幻想的な作品、果ては分類に困る作品まで収録されている。
この中だと小栗虫太郎『方子と末起』中井英夫『干からびた犯罪』がお気に入り。まさか小栗虫太郎が百合作品(時代を考えればエスと呼ぶべきか)を書いているとは思わなんだ。昭和文学万歳。

河原町ルヴォワール』
ルヴォワール四部作の最終巻。ルヴォワールシリーズは元々文庫版で読んでいて、「河原町文庫落ちしてから読もう」と考えていた。それが2年くらい前の話。気がついたら文庫版が出ていたよ。
なんというか最終巻にして最高傑作というべきだろうか。
以下ややネタバレを含みます。



わかっていても騙されてしまう大掛かりなどんでん返し。幻想的、超常的な事象全てに理由付けられてしまう展開は唖然とした。「こんなんで終わるわけがない! こんなんで終わるはずがない! 円居先生ならなんかやってくれる!」と思いながら読んでいたけれど、まさにその通りでした。『丸太町』同様どんでん返しに次ぐどんでん返しはお見事です。




『死なない生徒殺人事件』
表紙のお下げ髪の女の子(ベッシー)が可愛くて買った。Kindleで。
タイトルこそミステリだけれどその中身はSFというべきか。テーマは「不死」と「教育」
一言で言うならお手軽に楽しめる崩壊感。

タイトルからして西澤保彦作品みたいなミステリの枠組みの中に特別なルールを導入した変則ミステリみたいな作品だと思ったけどそんなことはなかった。
またただのミステリではなく独創的なミステリと言える。具体的には主題が犯人の解明ではなく、不死の解明にあるところが独創的だと感じた。ただ、不死のシステム自体は勘の良い人にはわかってしまうかも。
以下ネタバレを含みます。





読み終えたあと、その矛盾した奇妙なタイトルを見直して気がついたが、このタイトルは「死なない生徒が被害者の殺人事件」ともれるし「死なない生徒が起こした殺人事件」ともとれる。ダブルミーニングという奴だろうか。